chapter1-1 カスケ

chapter1-1 カスケ

 屍を越えて〜という言葉があるけど、超えてだよね、カスケ。そうやって超えて進むカスケ。「声」って叫んでも大抵聞こえない。だから「怖〜」って叫びながらも暗闇を模索しながら走った。カスケは知った。そこから先は行き止まりだ。木戸まで来て行き止まり。いつものことだ。驚きもしない。いつものように壊すだけ。

 カスケは頭がドンドンおかしくなってきた。それは寂しさに起因する、間違いなく。頭がオカシクないから今置かれている状況におかしくなるのだ。大丈夫か?俺?マジで。大丈夫じゃないよ、俺。地に足がついたことないや、ここ20年。

 カスケはいつも逃げ込む。美術と音楽に逃げ込む。その2つ以外に逃げ込む場所なんてありますか?あるわけないんだ。つまりカスケは狂ってるけど、いたって正常に狂ってるわけ。これは自慢していい。毎日いろんなことに圧縮されてカスだけになりそうだけど、どうにか逃げてる。

 カスケが元気ないのは理由がある。ここ1年ちょっと海外に行ってないからだ。彼は旅をしないと駄目なのだ。それはそういう血を受け継いでいるからかもしれない。彼の母方の祖父母は瀬戸内海の小さな、本当に小さな島の出身だ。戦前その島の人たちは南米やハワイへ移住していった。カスケは幼い頃一度だけその島を訪れたことがあるが、記憶にあるのは魚が驚くほど美味かったことぐらいだ。幼いカスケにとっては、たとえ自分のルーツの島といえども住んだことのないその場所はただの田舎の小さい島に過ぎなかった。


美術と音楽に逃げ込む

今なら仕事にも逃げ込む。仕事?ビジネス?もしくはお金?この3つは同義語です。お金を稼ぐシステムの選択。(記述2020/06/24)

海外

「海外」という言葉を使うということはカスケは日本人もしくは島国出身ということになる。つまり「国」という概念がある時代設定です。(記述2020/06/24)


 韓国人スンヨリーは台湾にいた。といっても、今は国家も国籍も国境すらないから、韓国(という国であった)地方出身のスンヨリーという人間が台湾(という国であった)という場所にいた、というのが正確な表現だ。台湾はこの世界制度になるまでに、国連に加盟しなかったので、国という表現が適切かどうかわからないが、今となってはどっちでもいい。初めからどうでもいい。スンヨリーを人間と表現したのは、性別も区別しないからだ。国がないから国境もなく、国籍もなく、性別もない。それらはただの制度という概念なので初めからもともとないのだ。

 そして昔と比べて決定的に無いものがある。武器だ。ピストルはもちろん核ミサイルなど人を殺傷する目的のものは何ひとつ無い、存在しない。この地球上に皆無なのだ。スンヨリーはとにかくそんな地球上の台湾にいて、コーラを飲んでいた。西暦2253年7月4日だ。

 まさにジョンレノンが歌った世界。さらに武器が存在しない世界、それは彼も歌っていない。争いがないわけではない、殺人が全くないわけではない。でも武器はないんだ、全く。そんな世界。そんな世界にスンヨリーはいる。


※台湾

私は台湾が世界で一番好きな国だ。(記述2020/06/26)

台湾は国だ。国連に加盟してようがしまいが立派な国だ。この物語上、国や国境について問題提起している中で「国連に加盟していないので国でない」という乱暴な表現を使用した。後で修正するかも。(記述2020/08/04)

※韓国

スンヨリーという登場人物を韓国人にしたのは大きな理由がある。今は書かない。スンヨリーの性別は無いけど、体は女性のイメージ、でも女ではない。とにかく性別が無い設定。(記述2020/06/26)

文在寅政権の反日政策における様々な問題(慰安婦問題、レーダー照射問題、フッ化水素輸出規制問題、日本海呼称問題等)に憤りを感じる。国内においては在日韓国・朝鮮人の問題(土地不法占拠、生活保護不正受給等)がある。在日問題の根本は差別によるものだとしても、朝鮮民族に共通して感じるのは、「日本に対しては何をしても許される、捏造でもなんでもしてもとにかく日本を悪者にして日本から奪えるものは奪い取る」という物凄く嫌な感情を受け取る。戦後韓国は反日教育をしてきたが、日本は反戦教育はすれど、特定の国を忌み嫌うような教育はしてきていない。教育って大事だ。(記述2020/07/17)